2013年11月17日日曜日

海外バンドの招致について①

わちゃんです。
DLBD!とのショートツアーが終わって約3ヶ月が過ぎました。
しょう君は色々エモいことを書いているので、僕はそのとき考えてたより実際的なことなどをざっくり書いておきます。

思いつくままに書いたので、内容に過不足はあると思いますが、これから誰かを呼ぼうとしている若いバンドは、考えるときの参考にしてください。
ただし、自分の頭で考えて答えを導き出すことを大事にしてください。


先に言っておきますが、僕たちはイベンターでもなければ大金持ちでもありません。
普段は働いている(1名は学生)普通の人です。
blue friendは結成して2年ちょっとです。
ツアー開始直前まで、不可思議なスプリットテープ以外、demo音源もありませんでした。
当然レーベルなどのサポートは全くありません。
バンドで特別に貯金をしていたわけでもありません。

そんな僕たちでも、音楽を通して知り合った全国各地の知人・友人とともにツアーを作り上げることができました。
僕たちの力だけでは、到底成し遂げられるものではありませんでしたが、最後まで、主体的に自分たちで考えて、動き続けることができたと自負しています。
DIYなんて知りませんし、そんなレッテルはどうでもいいんですが、結果的に極めてDIYなツアーになったと思います。

というわけで、そこで得たノウハウなどを以下に示します。

①大目標の設定

まず、どういう招致にしたいかを決めましょう。最初は漠然と「いいツアーにしたい」とかでもいいと思います。
そこから、大目標の「いいツアー」を具体的に定義します。全公演赤字なし+バンドの航空券代が払える+自分たちにもお金が残る、とか。
大目標の定義ができたら、今度はそれを実現するための小目標を考えますが、それはまた後日。
たとえ形骸的なものになったとしても、足並みを揃えるためにも目標設定は重要だと思います。


②打診の仕方・すり合わせ

SNSがここまで普及している昨今、海外のバンドとコンタクトを取るのは簡単です。
Facebook、Twitter、bandcampなど、アカウントが一つもないバンドの方が少ないと思います。コンタクトを取るための媒体はなんでも構いません。
重要なのは来日を打診する時に、「呼びたい!」って気持ちだけじゃなくて、できるだけ具体的に条件などのすり合わせをすることです。
あなたがどれだけそのバンドのことを思っていようが、具体的にどういう風にあなたの思いがそのバンドに還元されるのかを説明できないと意味がありません。
普通に考えて、呼ばれたバンド側も「大好きだから来てよ!」と言われても、「ありがとう!行けたら行きたい!」くらいしか返答できませんからね。

とりあえず、すり合わせでは、以下の点は最低限押さえた方がいいです。
(雰囲気を見ながら、段階的にやり取りをしていけばいいと思います。)
  • 時期
  • 日数
  • どういうツアーか(自分がやっているバンドが帯同する、とか、招致のみする、とか。)
  • 条件
    • 航空券代は誰が持つのか?
    • 宿はどうするのか?
    • 国内の交通費は誰が負担するのか?
    • 食費はどうするのか?
    • ギャラは出るのか?
    • 楽器はどうするのか?
    • ビーガンはいるのか?(結構大事)
お金の話は、できるだけシビアにした方がいいです。
ギャラとか、出す自信がなければハッキリそう言うべきです。
変な期待をさせて、後から揉めるのは最低です。

書いていいのかよくわかりませんが、DLBD!の場合は以下のような条件でした。
  • ギャラは期待しないように(一応、上がりが出たら渡すつもりではいました)
  • 航空券は自己負担
  • 食費は自己負担
  • 国内の交通費・宿・ブッキングなどはこちら側で手配/負担
  • ツアー後、残って観光したりする場合は自己負担
簡単に言うと、こっちも金銭的なリスク(交通費/集客できなかった場合の箱代など)を負うから、お前らも金銭的なリスク(主に航空券代など)を負えよって話です。
後から考えてみると、お互いにリスクを負ったことが、お互いの立場をより対等にし、バンド間の絆を強くしたような気もします。

最終的には、ある程度ギャラは渡せて(航空券代はカバーし切れなかったと思いますが)、よかったです。先方もマジで喜んでくれました。

あ、あと、英語ができないよ、、って方がいるかもしれませんが、基本的な聞き取り、読解、それと「Yes」「No」の受け答えができれば、話せるというレベルでなくとも意思疎通に支障はないと思われます。
どうしても不安であれば、周りに英語のできる人の一人や二人は簡単に見つかると思いますし、知り合いであれば、僕が手伝います。 

③バンド内の役割分担を決める

バンド内の各メンバーが何をするべきか決めた方が、負荷が分散でき、メンバー間の精神衛生上良いです。
メンバー全員が同じベクトルで招致しようとしている、というのが前提となりますが、、
個人的には以下のように分担するのが良いと思います。
(個人的な考えなので、別に一人で全部やるのもOKです。僕には無理です。)
  • コミュニケーション担当
    • その名の通り、コミュニケーションを取る役です。バンド間での情報共有や進捗報告などをします。何か決まったら些細なことでも報告してあげると、相手は安心するし、実感が湧きます。レンタカー予約したよ!とか。宿はここだよ!とか。ブッキングできたよ!とか。こんなスケジュールだよ!とか。インターネットでのやり取りを頼りに見知らぬ国にツアーしに行くのに、全貌を何も知らないってのは楽観的なカリフォルニア人でも不安になります。
  • ブッキング担当
    • 各公演のブッキングをします。blue friendの場合は、しょう君が箱を押さえ、各バンドへの打診は主に僕がやりました。どういうバンドを誘うかはメンバー全員で話して決めました。ここでも念のためギャラなどについては予め決めておいた方がいいです。
  • スケジューリング担当
    • スケジュールを決め、管理する担当です。ツアーのスケジューリングは、ブッキングしただけでは終わりません。以下に考えるべきことの一例を示しましたが、スケジューリングでの想定が深ければ深いほど、ツアーはスムーズに進むと思います。正直結構めんどうだし、頭を使います。
      • 各日程の行程はどうするのか?
        • 各メンバーはツアー中どういう予定があるのか?
          • eg) 社会人バンドなので、仕事→ライヴ とか
        • 各日の宿はどうするのか?
        • 移動手段はどうするか?
        • どこからどこに何時までに移動するのか?
        • 移動手段が車であれば誰が運転するのか?
        • レンタカーはいつ、どこで、誰が借りて、いつ、どこで、誰が返すのか?
        • 渋滞などで予定どおりに行程が進まない場合はどうするのか?
        • 誰かに負荷がかかりすぎていないか?
    • 上記はあくまでも考えることの一例です。ノープランで発生した状況に事後で対応していくことも不可能ではないと思いますが、基本的には事前に計画を立てた方がストレスが少ないし、コストも安く済むと思います。
  • 物販/販促担当
    • 物販は大事な収入源です。せっかくだからツアー用にスペシャルな物販を作ると良いと思います。それと、効果のほどは正直よくわかりませんが、ツアーのチラシ/ポスターも作って配った方が良いでしょう。今回のツアー物販/チラシは主に僕が担当し、ご存知の通り鳥海氏にデザインしていただきました。
    • デザインをしている人って、こういうことを依頼すると喜んで協力してくれる人が多いと思います。印象的なデザインが存在するツアーが成功すれば、そのデザイナーの評価にも繋がるはず。
    • 余談ですが、あの少年二人のデザインを作るのに2ヶ月くらいかかりました。鳥、少年、花がイメージでしたが、Facebookで何度も鳥海氏と打ち合わせして作り上げました。
  • ドライバー担当
    • バンドの遠征を経験したことのある人ならわかると思いますが、ドライバーは過酷かつ重要な役目です。連日ライヴする場合、朝出発⇒会場到着⇒リハ⇒ライヴ⇒打ち上げ⇒そのまま寝ずに深夜に移動、なんてこともザラにあります。事前にそのことを覚悟できているだけでも、大分ストレスが少ないです。
    • そして、できればメンバー以外にドライバーを見つけた方がいいです。今回はPLAY DEAD SEASONのこうすけさんと、cisumのヤフーパイセンが全面的にサポートしてくれました。多分、パイセンがいなかったら2〜3回事故ってたと思います。


このように、ツアーを作り上げるには地味で詰まらないことをたくさん考える必要があります。
①、②、③と書いて、思っていたより長くなってしまいました。

後日、ツアー全体の想定コストとか、想定粗利とか、そこから導き出した各ライヴ日程の集客目標・物販の売上目標とか、そういうものについて書こうと思います。

お金の話は興ざめするっていう方もいるかもしれません。
しかし、実際問題お金のことを前もって考えて、決めておかないと誰かが不幸になります。
バンド間の人間関係をお金でぶち壊さないためにも、主催する側が一番シビアに考えないといけないのではないでしょうか。

淡々と書いてきましたが、このツアーは僕にとっても感動的なもので、それはもう人生が変わるような経験でした。
8/9〜8/18の間で9日間ライヴをし、毎日、生きている心地、呼吸をしている心地を噛み締めました。
DLBD!のメンバーのことを思い出さない日はありません。時折夢にも出てきます。
国境を超えて強い絆が生まれたと感じていますし、彼らもたぶん、同じ思いのはずです。
だから、やってよかったな〜と思います。

一回目は、以上です。

お読みいただき、ありがとうございました。

blue friend わたなべ